上智大学国文学会2023年度夏季大会案内

大会は予定通り開催されました。

日時:2023年7月1日(土)13:00~

場所:上智大学7号館14階特別会議室

[研究発表]13:00~

『方丈記』五大災厄の章段の語りの性格―連語「かとよ」から考える、『大鏡』との関係―             

 上智大学文学研究科国文学専攻前期課程 小山咲也香

藤原定家『拾遺愚草』釈教「向かはれよ」詠について

 ノートルダム清心女子大学准教授 星野 佳之

[シンポジウム]14:35~

テーマ 「源氏物語の表現の達成」

本廣 陽子(上智大学文学部教授)「複合動詞から観た源氏物語の表現」

石井 公成(駒澤大学名誉教授) 「仏典から観た源氏物語の表現」

藤原 克己(東京大学名誉教授) 「漢籍から観た源氏物語の表現」  

司会    瀬間 正之(上智大学文学部教授)

[上智大学国文奨学金授与式]

[総会]17:20~

[懇親会]18:00~ 会場:上智大学2号館5階教職員食堂

卒業生の方のご参加を歓迎します。
参加を希望される方は、6月26日までにご連絡ください。

国文学会事務局 [電話・FAX]03-3238-3637    jouchikokubungakkai@yahoo.co.jp 

上智大学国文学会2023年度夏季大会 研究発表・シンポジウム要旨

研究発表要旨

『方丈記』五大災厄の章段の語りの性格 ―連語「かとよ」から考える、『大鏡』との関係―

上智大学文学研究科国文学専攻前期課程  小山咲也香

 『方丈記』では連語「かとよ」が、古本系統の大福光寺本で二例、前田家本で三例、 流布本系統の一条兼良本および嵯峨本で四例用いられている。この「かとよ」という語は、『方丈記』の時代には、散文において用例の少ない語であった。また、『方丈記』における「かとよ」は全てが、前半部の五大災厄の章に使用箇所が偏っているうえ、例外なく時を表わす語に付属する形で用いられている。短編である『方丈記』で、二例から四例確認されること、更にその使用形式が全て同一であること。これらに作者の意図を見出すべきではないだろうか。

 本発表では、和歌・歌合判詞・散文における「かとよ」の用例を確認しつつ、『方丈記』において「かとよ」がどのような意味を持つのか、作者がこの語を用いた意図とは何か、考えていきたい。また、用例を調査するなかで、『方丈記』が『大鏡』の文体を踏まえている可能性が見えてきたため、二作品の関係性についても検討を行う。

藤原定家『拾遺愚草』釈教「向かはれよ」詠について

ノートルダム清心女子大学准教授     星野 佳之

 藤原定家『拾遺愚草』雑・釈教所収の「母の周忌に法華経六部みづからかきたてまつりて供養せし一部の表紙にゑにかかせし歌」八首(二七五四~六一)について考察を試みる。

 法華経各一巻に一首を宛がって詠まれたこの八首の内、七巻「向かはれよ木の葉しぐれし冬の夜をはぐくみたてし埋火のもと」については、久保田淳が初句を「報いとなる」という自動詞「ムカハル」の命令形、「埋み火のもと」を詠者定家を育てた母の膝下と捉えて「母への報恩となるように」と解釈したのが通説である。

 これに対し、五句は法華経七巻「薬王菩薩本事品」の「如寒者得火」を踏まえ、初句を「移動動詞ムカフ+尊敬ル」と取って「祖母のもとに往かれよ」と母に呼び掛けた歌という試案を発表した(和歌文学会 令和四年一二月例会)が、その際「他の七首全てに法華経各巻との対応が見出せるか」などの課題が残った。今回改めて考察し、可能であれば八首の構成の理解に及びたい。

 

シンポジウム「源氏物語の表現の達成」趣旨

 物語文学史上、卓越した文学的達成を遂げた源氏物語は、表現の面でもそれ以前の作品とは一線を画し、独自の高度な発展を遂げている。源氏物語は、それ以前の和漢の多くの文学作品や仏教など、様々な要素を取り込み、それを作品内部で変容させて、新たなる作品世界を形成した。その過程で、新しい表現方法が工夫され、新しい言葉が用いられ、源氏以前には到達出来なかった物語表現が生み出されていくことになる。

 本シンポジウムは、漢籍との関わり、仏典との関わり、複合動詞といったそれぞれの方面から、源氏物語の表現を分析し、議論を通して、源氏物語の成し得た表現の達成を考えたい。

上智大学国文学会入会案内

 上智大学国文学会は国文学科卒業生、大学院生、関係教員等によって組織されている学会です。

 国文学・国語学・漢文学の研究を深めるとともに、会員相互の親睦を図ることを目的としており、500名を超える会員がおります。

 当会は、ソフィア会国文学科同窓会とともに同窓会の役割も果たしており、卒業生と繋がるために、年2回の国文学会開催時には懇親会を開催し、卒業生同士の親交を深める機会を設けております。

 同窓生として、国文学科の発展に向けてぜひともご参加くださいますよう、お願いいたします。

 [主な活動]

 ・国文学会大会(7月・1月)    

  会員の研究発表  及び  講演、シンポジウム など

・「国文学論集」刊行(年1回)       

  会員の論文掲載(公募) 博士論文・修士論文・卒業論文題目掲載

・国文学会会員名簿発行(7月)隔年発行

・会員通信の発行(年数回)

・学会ホームページに学会活動・ニュース等を掲載

[入会手続]

  jouchikokubungakkai@yahoo.co.jp までご連絡ください。その際、学卒年と在学中のお名前もお書き添えください。

[会費納入]

  年度会費3,000円については、各人に送付いたします郵便振替用紙にて納入あるいは郵便振込でお願いいたします。

上智大学国文学会規約

第一条  本会は「上智大学国文学会」と称する。

第二条  本会は、国文学・国語学・漢文学の研究とその交流に努め、会員相互の親睦を図ることを目的とする。

第三条  本会は、上智大学国文学科の関係教員および卒業生、大学院生、並びに入会を希望する者で理事会の承認を得た者を以て会員とする。学生は準会員とする。

第四条  本会は毎年一回総会を開く。

第五条  本会は左記の事業を行う。

一、研究発表会の開催

二、国文学論集の刊行

三、ホームページの維持

四、その他、親睦会・講演会など本会の目的を達成するために必要な事業

第六条  本会には左記の役員をおく。

一、会長      一名

二、理事    若干名

三、評議員  若干名

四、幹事    若干名

五、会計監査  二名

役員の任期は二か年とする。ただし、重任を妨げない。

第七条  会長は、理事会の推薦に基づき、総会の承認を得て決定する。

会長は本会を代表する。

第八条  理事は左記により定める。

一、国文学科の在職者の互選

二、会長の委嘱

理事は理事会を構成し、会長を補佐して事業の立案並びに会の運営に当たる。

第九条  評議員は、会長の推薦に基づき、総会の承認を得て決定し、会長の諮問に応じて必要な事項を評議する。

第十条  幹事は会長が会員の中から委嘱し、会計・編集その他の専門の業務に当たる。

第十一条 会計監査は、理事会の推薦に基づき、総会の承認を得て決定する。

第十二条 会長は必要に応じて委員会を設けることができる。

第十三条 本会の経費は会費、寄付金その他の収入を以てこれにあてる。

第十四条 本会の入会金は二千円、会費は三千円(準会員は二千円)とする。

     但し、卒業年次入会の場合は入会金を免除する。

第十五条 本会の会計年度は毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

理事会は総会において毎年度決算報告を行う。

第十六条 本会の規約改正は理事会の発議を経て、総会の承認を以て行われる。

付則   本会は事務局を、千代田区紀尾井町七番一号  上智大学国文学科事務室におく。

昭和六十年四月一日より施行

平成二年七月七日改正

平成十四年七月六日改正

平成二十四年七月七日改正

平成二十九年七月一日改正

名誉会員推薦内規

一、次の者を理事会の承認を得て、名誉会員に推薦する。

二、専任教員として上智大学で定年を迎えた者。

三、会員のうち七十歳以上の者で、次のいずれかの項目に該当する者。

 (一)本会の役員に十年以上在任した者。

 (二)本会の事業に多大の貢献をした者。

四、名誉会員は、会費納入の義務を免除する。

(昭和六十三年七月九日より施行)

(平成二十四年七月七日改正)       

準会員取扱内規

一、単年度会員とする。(会員名簿には記載しない。)

二、国文学論集の配布をうける。

三、大会への参加が認められる。

四、論集への論文の掲載が認められる。

   (但し、国文学科指導教授の推薦を必要とする。)

(平成二年七月七日より施行)

(平成二十九年七月一日改正)